オススメ本 「A3」

著者の森達也氏はオウムの事件をずーっと追い続けている。
何年も前に森達也氏が撮った「A」という映画を見た。
映像に写っていたオウム真理教の信者は、
オウム真理教の信者と知らなければ、
その辺の若者よりも好青年として映るかもしれない。
特に異様な雰囲気を漂わせていることも無く、
特別の感じはしないことに驚いた。
A3には麻原やオウムの信者の裁判等を通して、
森氏の目に映る現在の日本の危うい状況が述べられている。
マスメディアには絶対に乗らない事実。
臭いものには蓋をしたい多くの日本人。
オウム真理教の事件は一体どうして起こったのか、
そういえば私たちは何も知らない。
既に正常な精神状態でない麻原は、
死刑が確定し、真実は闇の中だ。
森氏の推察するオウムの事件に至るプロセス、
それが真実かどうかは既に知るすべは無いが、
ありえることだと思った。
オウムで起こったことは、
どのようなプロセスをたどったのか、
これからの日本のためにも、
麻原に治療をして、
きちんと裁判を受けられる状態にして、
真実を明らかにすべきだったと
森氏は主張していた。
けれども麻原の裁判は異例づくしの状況で進められ、
あっという間に死刑が確定した。
世論はそのスピード判決を当然と受け入れ、
批評家なども賛成の意見が多かったようだ。
私なんかは麻原の顔写真が新聞に載っているのも、
気持ち悪い感じがして、あまり読まなかったくらいだ。
だから、死刑判決が異例づくめで出たことも、
もちろん知らなかった。
だけど、それでは何の解決にも、
今後にもつながっていかないことなんだ。
一気に読んだ本だ。
私達の国で起こっていることを、
国民である私たちはもっと知るべきだと思った。

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