ベイエリア通信#4  2000年6月5日 

(10年前に友人たちに送っていた通信です) 
Who is she? SHEは誰ですか?             
 アメリカに来て3ヶ月たつ。「3ヶ月我慢すれば、会話は結構わかるようになるよ。」というある友人の言葉を信じていたわけではなかったが、やはり私の場合には当てはまらなかった。「わからん」というのが、正直な感想である。キャプション(英語の字幕を表示する機械)をつけたテレビでビデオを見ても、まだ「わからん」。特にネイティブ同士で話している会話についていけない。
 その大きな理由の一つに主語の問題があることがわかった。日本語の場合、会話の中では「彼」「彼女」とはあまり言わずに、その人の名前を入れながら会話をすることが多い。ところが英語では最初に固有名詞を言ったら、その後はすぐSHEやHEになってしまうのだ。一般会話では固有名詞を繰り返すことはあまりない。だから最初にその名前を聞きそこなうと、「一体誰のことを話しているの?」ということになり、ちんぷんかんぷんになる。
 言葉を正確にキャッチしにくい私の場合、会話のスピード以外に、会話の主語がすぐ代名詞に変わってしまうのが、さらに英会話を理解しにくくしていることが判明した。日本語はあまり代名詞を使わない言葉だったのね。「それ」とか「あれ」とかはよく使いますけどね。それで通じてしまうことが多い日本語もすごいけれど。もちろん使う人同士のとの関係性によりますが。
 ここまでのほとんどの文章は3ヶ月目に書きました。ここからは5ヶ月たった現在の状態ですが、基本的な状況は変わっていません。昨日、ビデオで英語のキャプションつきで「STRAIGHT STORY」を見ました。その中で、主人公のじいさんと他のじいさんがBARで会話する場面があります。最初見たときは、何を話しているのかわからず、2,3回リピートしてわからない単語をいくつか辞書に調べて、やっと戦争の話をしていたことがわかりました。こんな状態です。日本語でどういうサブタイトルがついているのか見てみたいです。
 本当にこんなに英語ができないでよく来たなあと、ほとほと感心したりもします。がんばって電話をかけたりしても、先日は「あなたが何を言っているのか、ぜんぜんわからないわ。ちょっと待って、他の人と変わるから。」と言われたし、私がまったく聞き取れないこともあります。けれども、この辺のアメリカ人は、外国人の変な英語に慣れている人も多いので、結構わかってくれたりもします。
 しかしいくら私ががんばっても、決して英語で日本語のように表現できるようにはなりません。逆に一体私はどのくらいの日本語の語彙があるのかなあなどと思ったりもします。実際に自分で使う語彙は限られているものの、本などを読むときに理解できるものを含めると、やはリ相当数の言葉が入っているのだと感心します。年々忘れていますけどね。小学校、中学校での毎日のような漢字テストは、私には楽しいものでは決してありませんでした。しかしあのくらいやって、どうにか普通に本が読めるくらいなのですから、日本語も大した言葉なんですね。
(2011年の後記)
あれから10年。私の英語はもう錆びれる一方だ。
だけど、もともと砥いでなかったようなものだから、
そんなに変わらないと言えば変わらないのかもしれない・・・。

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