ベイエリア通信 #14  2000年9月10日

(この文章は2000年にアメリカで書いて友人に送っていた文章です)
ベイエリアにいる理由
 日本はやっとやっと少し秋らしくなってきたようですね。暑い長い夏の後の日本の美しいおいしい秋をどうぞお楽しみ下さい。
  私が通信を送っている人の半数は、「一体、Yさん(Yちゃん、A子さん)は何しにアメリカに行ったんだろう?」と思っているはずだ。この通信を読んでいても、その目的は全然見えてこない。
 「英語の学校には行っているらしいけど・・・。」もちろん、英語の勉強だけのためにアメリカに来るなんてことはない。「最近はサンフランシスコへよく行って遊んでいるみたいだけど、本来の目的はどうなっているの?」と理由を知っている人も思っているらしい。サンフランシスコ通いは、ある目的があったのだ。決して遊びほうけていたわけではない。
 「それじゃあ、一体何なのさ?毎日何をしているの?」 というわけで、私も何となく落ち着き、今まで多く(?)の友人からリクエストのあった上記の疑問にお答えする通信を書こうかな気分にようやくなった。
 私がこちらに来た理由は、1年半のヨガのアドヴァンストレーニングプログラム(ティーチャーズトレーニング)に参加するためなのだ。 
  「ヨガならインドじゃないの?」と考える向きも多いと思う。たまたま私が縁のあった先生がアメリカ人で、こちらに来る前は東京やハワイとかで彼のワークショップに1年に1回くらい参加していた。彼のスタジオでの上記のプログラムに、前から参加したいなあとは思っていたのだけれど、いろいろなタイミングが合わずあきらめかけていた。
 しかし、今年からプログラムの内容が多少変わり、やっぱり行ってみたいという感情がフツフツと湧き上がってきたのと、それに加え、自分の状況もがんばればどうにか渡米できそうになり、「行くぞー」と決めたのが、去年の6月か7月頃。その後、ビザの取得のために多くの方にもご尽力いただき、思っていたよりも問題なく観光ビザであるB2ビザを取ることができた。アメリカの場合、3ヶ月以内の滞在ならばビザはいらないが、それ以上の場合はビザの取得が必要になる。
 しかし、英語で文章を書いたりとか、いろいろな書類の準備やらで、この時点で既にかなりのエネルギーを使い果たしてしまった。9月からは少しは英語に慣れておかないとと、週2回の英語のクラスに通ったりもした。年末はバイトの傍ら、実家への荷物の引越し準備だ。これがまた疲労の原因となった。なんせ一人暮らし15年以上分の荷物なので、相当の荷物となっている。足りないのはダンナだけだった。でも、ダンナは実家に送るわけにはいかないので、とりあえずいなくてよかったことにしておこう。ハハハ。。。 
 そんなこんなで、年末には「どうしてアメリカなんかに行くことにしたんだろう?」という、おいおい最初の決心はどこに行ってしまったのさ状態になっていた。既に夏前の高いテンションではない。しかし、私の性格上こうなることは事前に十分に予想されうるものだったので、いまさら後に引けない状況を自分の周りに張り巡らしておいた。また、弱気になっている私を、同居人を始めとする友人達が「何とかなるから大丈夫」とずいぶん励ましてくれた。
 おかげで「渡米するぞ」という意思をかろうじて維持し、アメリカのスタジオ側と頻繁に連絡をとりつつ、こちらで住む家も決まらないまま大きな不安とともに、「えいやっ」でアメリカに来たのが正月気分も抜けない1月4日。その頃のアメリカの家々は、まだクリスマスの飾りが残り、夜の通りをキラキラ照らしていて、日本と違うなあとしみじみしたのを思い出す。「とうとう来てしまった」のであった。
 ちなみにアメリカ側との連絡は、全てEメールだった。これがなかったら、連絡にさらに時間がかかり、さらに手間取ったことは想像に固くない。私がアメリカに来れたのはいろいろなタイミングがうまく重なったからだと思うけれども、加えてコンピュータによる環境の変化によるところも大きい。10年前の私には想像できなかった世の中になったものである。
 それから、本当にあっという間で、もう8ヶ月以上もアメリカに滞在している。何とかなっていると言えないことはない。だがしかし、プログラムのクラスはやはり大変なのだ。クラスについていっているとはとても言いがたい。私にとっての一番高いハードルは当然ながら「ENGLISH」である。そこでは全く容赦のないネイティブスピーカーの速い英語が飛び交っている。ただのクラスでなくティーチャーズトレーニングだから、ディスカッションありの、ホームワークありの、何でもありである。
 クラスメイトは現在32人。外国人は私を含め3人いるが、私以外の2人はヨーロッパからで2人ともこちらに長く、英語には問題がない。このプログラムに参加するためにカリフォリニア以外の州から移動して来た人は私を含め8人。男性は8人。年齢は20代から60代まで幅広いが、20代後半から35歳くらいまでが一番多い。
 クラスは週2回、火曜日は朝7時から10時または10時半まで、木曜日は朝7時から11時まで。火曜日は8時15分以降は、動きの解剖学やヨガ関係の哲学などの勉強っぽいことをする。木曜日はポーズを中心とするクラスである。それ以外に、少なくとも週に1回はプログラムの先生の一般クラスを取るように指示されている。7月下旬から先週までは夏休みだった。
 それ以外の時間は何をしているかというと、7月まではESLクラスに通っていたりもしたのだが、この9月からは行っていない。その代わりに友人の家の掃除や、紹介してもらった家の掃除などをして、小遣いを稼いでいる。それから、スタジオの掃除も週に1回、1時間半くらいする。これでプログラムの参加費が少し安くなっている。私は掃除しにアメリカに来たのかしら?と思うような状態だ。
 実際、私のビザでは公に働けない。移民局にばれたら、帰国しないといけないので、みなさん絶対にちくらないように。どちらにしても英語が不自由なので、できるコトといえば掃除くらいなのだ。すっかり肉体労働者と化しているのであった。日本での今までの仕事暦は英語ができないとアメリカでは何の役にも立たない。英語が使えれば、もっと何らかできように、少し情けない気分ではある。しかし、掃除仕事も悪くはない。少しでもお金がもらえて、ずいぶん助かっているのだ。仕事をもらえるだけでもとてもありがたいと思う。またおもしろいことに、アメリカ人の掃除に対する考え方は、日本人とはずいぶん違うように感じる。それはまた別の機会に書こうと思う。
 とりあえず、今回はこんなところで。これで胸のつかえ(?)がすっきりした人が多いハズだろう。ハイ、私はヨガしにアメリカくんだりまで来ています。第三者的に聞くと、変わっている人のように聞こえる気もしないではない。でも、普通なのだ。変なTシャツも着てないし。ストレスと好奇心からの食べ過ぎでまた太ったし。精神的にはまだまだまだまだ・・・・・。
(2011年の後記)
日本にヨガが流行る前だったよなあ・・・行ったのは。
今はヨガ留学なんで言葉も見かけるけど、そんなおされな感じは微塵もなかった。

ベイエリア通信 #14  2000年9月10日」への1件のフィードバック

  1. ぷくい

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    >足りないのはダンナだけだった。
    こんなこと 思ってたのか?! と上記も含め^^改めて知ったのでした~^^
    おされ=おしゃれ 定着しつつある日本語だなぁ~

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