カテゴリー別アーカイブ: Books

今日のおすすめ本:「脳は奇跡を起こす」ノーマン・ドイジ著

新潟市の図書館で検索したら、
新潟市の蔵書には無く、
リクエストしたら県立図書館の本が来た。
借りてきてちょっとほっておいて、読み始めたら面白くて、
気がついたら返却期間を過ぎていた。
他館の本だと延長できないので、図書館の本は返却し、
結局自分で(古本を)購入。
新潟市さん、面白い本でっせ!
この本は脳の可塑性をテーマに、実際の症例を取材したノンフィクションだ。
アマゾンの内容紹介が判りやすいので引用する。


平衡感覚を失った女性、麻痺の残る脳卒中患者、視覚・聴覚障害者。失われた機能をふたたび”取りもどした”人たちの再生物語
人間の脳はみずから変化する。この革命的な発見は、私たちに何をもたらしたのか?本書では、「脳の可塑性」という概念をわかりやすく解説すると共に、この革命的な発見によって脳機能の再生を果たした患者の実例や、それに大きく貢献した研究者たちを紹介する。平衡感覚を失ってまっすぐ歩けなくなった女性、半身不随の脳卒中患者、学習障害をもつ子ども、ネットポルノ中毒の男たち……彼らがいかに従来の脳科学の「常識」をくつがえし、奇跡の回復をとげたか。同じ症状で苦しんでいる患者たち、また「脳トレ」に関心をもつ人に、脳の新しい可能性を提示し、勇気と希望をあたえる書。


脳は長い間「局在論」が主流の時代が続き、
脳が環境に応じて変化するということは
かっての多くの脳科学者の間では全く信じられないことだった。
しかし現在では、脳は変化する、
脳には可塑性があることが、
様々な実験や症例から明らかになっている。
フェルデンクライスメソッドは、この脳の可塑性を利用したメソッドだ。
モーシェ・フェルデンクライス博士がフェルデンクライスメソッドを作った当時は、
脳の可塑性について、現在ほど注目されておらず、
かつ本書に書いてあるようなことは
まだそれほど明らかになっていなかったはず。
その時代に、脳・神経系の可能性に注目しメソッドを作り上げたことは、
フェルデンクライス博士の非凡さを表している。
この本は脳トレとか、脳を鍛えるとかそんな話でなく、
良質な科学ノンフィクションだ。
現在はこんな治療があって、
こんなことも出来るようになっているのかというような、
畏怖するような現実も知らされるのだけれど、
障害を持った人の様々な事例から、
環境次第で脳はかなり変化することに驚く。
数年前の本だから既に最新の情報ではないと思うけど、
それでも現在の脳科学でわかってきたことを読むのはとても面白い。
脳に特に障害が無い人の脳も、
使い方次第でこれからも変わっていくのだ。

おすすめ本 「海街dairy」1巻~3巻

なかなか新刊が出なくて、一年以上ぶりに3巻が出た。
待ってたよ~。

吉田秋生の日常を切り取った作品は本当によくて、昔から「河より長くゆるやかに」とか「夢見る頃を過ぎても」とか名作が多い。「カリフォルニアストーリー」とか「Banana fish」とかのハード系もいいんだけど、久しぶりの日常が舞台のこの「海街dairy」シリーズ。
一話ずつがキラキラした一粒の真珠のようで、それがつながって全体のストーリーがつくられていく。主人公の4姉妹を中心として、家族、友人、職場、恋人など、それぞれが様々な関係性の中で迷い、苦しみ、悩み、笑いながら、それぞれの時計の針を進めて生きていく姿が、ゆっくりとしたテンポで丁寧に書かれている。
私は鎌倉に縁もゆかりもないが、舞台になっている鎌倉の街の雰囲気がマンガのさらなる奥行きを作っているように思う。
マンガ好きなら是非読んで!!!のオススメコミックです。


おすすめ本 「インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日」

確定申告の書類をやっと今日投函した。ふーっ。毎年、もっと早くから手をつけようと思っている、思っているんだけど、いつもギリギリ。昨日は税務署に電話をかけ、不明な点を聞く。去年聞いた減価償却の仕方も、また聞いている。聞いていて、去年聞いたことだったとわかる自分。いやいや、とにかく終わったぜ!
オススメ本は、ずいぶん前に新潟日報の書評に紹介されていた本で、図書館で予約を入れ、2ヶ月くらいは待った気がする。当時20代後半の著者(女性)が、180万円の予算で2年間ユーラシア大陸からアフリカをバックパックで旅した記録だ。
正直、こんな旅ができる人は少数派だ。英語が堪能だということも旅を助けているけど、著者の度胸というか勇気というか、こわいもの知らずというか、サバイバルって言葉が似合う旅の記録だ。なんて姉ちゃんだ!って正直思う。
読みやすいことも手伝い、どんどん読み進んでいく。そこには、私の知らないアジア、中東、アフリカで生きる人々の姿が書かれている。メディア等を通じて伝えられるそれぞれの国の姿は、いかに多くのことをそぎ落として、提示されているのだろう。
そして、いろいろな人々や出来事に出会う中で引き出される著者の様々な思索、感情などが赤裸々に簡潔に綴られている。
それらが私のアフリカや中東などの遠い国やそこで暮らす人々に対する先入観を軽々とぶち壊していくのが心地よい。
私は昔ちょっと英語を近所に習いに行ったときがあった。そこはアメリカ人男性と日本人女性の夫婦がやっていた。当時はヨガをしているわけでなく、ただ漠然と英語がもうちょっとできるといいのにというくらいの動機で通い始め、その後1年近く住むことになったアメリカには何の興味もなかった。私のアメリカのイメージは「怖そうな国」だった。
そんなことをたまたまアメリカ人の先生に話してしまい、えらい怒らせたことがあった。まだ20代半ばくらいのことだった。今思えば、彼は怒って当然だ。
そのずいぶん後でアメリカに行くことになり、そこはオークランドという街だった。オークランドは黒人が多い街で、殺人も多いという噂も聞いていた。
実際に行って見ると、ヨガスタジオがあった場所は、オークランドの中でも治安がいい地域で、怖い目にあったときは1回もなかった。アメリカの街は、地域によって貧富の差がはっきりしていて、下手すると1ブロック違うだけで、雰囲気がガラッと変わることもあるので、注意は必要だけど怖がりすぎる必要も無い。
この本を読んで、そんなことも思い出した。
多くの日本人が目にすることもない風景を見せてくれる本だと思う。テレビや新聞など大きな媒体に載らない情報は、載っている情報よりも何倍も多いことを実感させてくれる。
著者の中村安希さんはブログもしている。中村安希さんというエネルギッシュでパワフルな若者の目からみた世界には、大きなメディアには載らない次元が広がっている。
安希のレポート

おすすめ本 「ハチはなぜ大量死したのか」

昨年、アメリカなどでミツバチがいなくなったというニュースを耳にして、頭の片隅にそのニュースが残っていた。それでニホンミツバチの話題などもちらほら目にしていたけど、この本を読んで、今のセイヨウミツバチが置かれている状況が想像できた。
推理小説を読むような感触もあるノンフィクションで、本を読み進めるうちに、私達の現在の生活を支えている危うい状況がはっきりしてくる。
正直のところ、私はセイヨウミツバチがアメリカやヨーロッパ、中国など世界の各地で、こんなふうに酷使され、商品としても流通し、商業化した大規模農業の一端を担っていたなんて、全然知らなかった。
素のアーモンドが無印良品でも簡単に買えるようになったなんて、つい最近喜んでいたんだけど、そのアーモンド栽培には、セイヨウミツバチが深く関わっていたとは・・・。なんてお世話になってるんだ!
だから、ミツバチがいなくなることは、日本の私達の生活も十分関係していることなんだ。
農業という生きる根幹に関わることが商業化されていくことが、今後の生活にどんな影響を及ぼすのか、誰もまだわからない。でも、セイヨウミツバチの現象は私達の現在の生活の行く末を示唆している。
ミツバチがいなくなったことは、ほんの始まりにすぎないというようなことが本にも書いてある。
著者は、様々な養蜂家に取材をし、その中には時流に乗らず、独自の道を切り開き、CCD(蜂群崩壊症候群)とは無縁の養蜂家の紹介もある。
私達には選択肢が無いわけではない。
面白かったです。蜂蜜が貴重なものに思えてきた。山田養蜂場とか大変じゃないのかな?と思ったりもしましたわ。ミツバチに限らず、虫達、植物、全ての生き物がつながっている生態系のシステムはやっぱりすごいと素直に感じられた本。植物と虫の関係もとんでもなく面白そうだと、改めてまた思った。

おすすめ本 「いわずにおれない」まど・みちお

ここ数日のアクセス解析で、訪問者数が異常に多い。いつも0~10人くらいなのに、いつもの数倍カウントされている。
検索キーワードは「獣の奏者エリン」関係でした。すみません。たいしたこと書いてません。終わったね・・・。最後はエリンの感情の細かい描写が本の方がよかったんだけど、アニメでもちょこっと涙してしまいましたわ。
さて、オススメ本は今年100歳になられた詩人、まど・みちおさんの本です。誰でも知っている名前かと思っていて、ヨガの生徒さんの前で名前を出したら、知らない人も多かったので、ご紹介を兼ねて。
まどさんの名前を知らなくても、「ぞうさん」の歌を知らない人はいないと思う。その詩がまどさんだ。
今年100歳を迎えられたというので新聞で記事になっていて、最近の詩集も発売されている。久しぶりにまどさんの詩に触れて、まどさんの視線の低さ、広さ、細やかさ、暖かさ、やさしさに励まされ、視点に違いにハッとさせられ、気づかされる。
新潟市の北光社さんで、まどさんコーナーができていた。北光社が閉店するという寂しいニュースが最近耳に入ってきたけど、まどさんの特集コーナーがあって、ああこれを待っていたのよと、まどさん特集がある「飛ぶ教室」という雑誌のバックナンバーを買ってきた。こんなの大手全国チェーンのK屋書店にも、近くのB堂にも無かった。そんなことを考えると、北光社さん無くなるのやっぱり寂しいなあ。新潟市の古町は一体どうなっていくんだろう・・・。と話がそれました。
この本は、詩だけでなくて、インタビューやイラストなども載っている。イラストもすごくいいんです!この本でなくて、シンプルな詩集もいいと思う。

おすすめ本 「最新脳科学で読み解く脳のしくみ」

「幸せへの鍵は低い期待値にある」(本書P173より)
こんな興味深いことも、脳のしくみとともに書いてある。脳に関する本はたくさん出ていて、私が読んでいるのは、そのほんの一部でしかないけど、この本は一般書として、よく書かれていると思う。一般書でも、もちろん生化学的記述もあり、一度読んだだけではわからない部分もあるけど、わからない部分は諦めて読み進む。
脳の本を読んでいると、全てが脳によって左右されているような気分にもなってくるけど、結局は自分のからだのことだから、やっぱり面白い。
フェルデンクライスで「脳をだます」ということを言ったりもするけど、脳はいい加減なことを結構しているらしい。
この本の中のpractical tipの中の一つに「マキシマイザーとサティスファイサー」というのがあった。私は初めて耳にする言葉で、詳しくは読んでもらえるとわかるけど、私はしっかりマキシマイザーだった。「サティスファイサーはマキシマイザーよりおおむね幸せ」らしい。そうだよなあ・・・。サティスファイサーを目指そう!
他にも面白い話がたくさん載っている。

エリンちゃん、今週は最終回

毎週観ていた「獣の奏者エリン」が今週の土曜日で最終回。1年間だったのに、あっという間だ。
原作の上橋菜穂子さんの「獣の奏者」はとてもよくて、これが子供向けのアニメにどんなふうになるのか・・・と思っていたけど、エリンの成長とともに、絵も当初よりも少し大人びたような感じになり、結構毎週楽しんで観てた。
つい数日前にNHKの「獣の奏者エリン」のサイトに行ったら、9月頃から毎週上橋さんのコメントが載っているのではないか!全然知らなかった・・・。知っていたら、リアルタイムでまた楽しめたのに残念。
獣の奏者は今年「探求編」と「完結編」も出版され、本当に終わった。エリンが大人になり、母となってからの物語だ。この2冊もよかった。


<Ⅰ闘蛇編>と<Ⅱ王獣編>は講談社文庫でも出ている。まだ読んでいない人はオススメです。

オススメの本 「きみが選んだ死刑のスイッチ」 森達也著

死刑について話すことはあまりないけれど、近年世界では死刑を取りやめている国が増える中で、日本ではなぜ増えているのか、と思っていた。
この本は小学校高学年から中高校生向けに書かれている本だけど、死刑のことを正直何も知らない私にとってはわかりやすい本だったし、知らないことが多く書かれていた。
先日教育テレビのETV特集で死刑囚の永山則夫の特集番組をみたときも死刑のことを少し考えた。
そういえばyomyomで小野不由美の十二国記の新作が発表されていた。重い内容の短編だったけど、現在の日本の有り様に通じるものがあり、死刑が作品の題材の一つになっていた。
私達は死刑について知らなすぎることを実感させられる本だ。そして私達が知らなければならないことが書いてあると思う。内容は死刑だけでなく裁判員制度などについてもわかりやすく書かれている。私と同じように死刑のことをあまり知らない多くの人達に読んでもらいたいと思った。

知っていますか?生協の白石さん

 既にかなり有名になっている「生協の白石さん」。私は10月25日の朝日com.で生協の白石さんが東京農工大学から感謝状が贈られたという記事で、初めて認識した。様々な雑誌や新聞、TVなどでも取り上げられているので、耳にした人も多いと思う。